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体験談

”オレたちのRe:Walk”第5回(川上真司/脳血管疾患) kidoriha(男性/31歳)2017年04月30日 13時28分17秒

”オレたちのRe:Walk”第5回

 

 

2017年4月30日

川上真司(カワカミマサシ/脳血管疾患、原因:脳出血、受傷日 H27.6.4、麻痺部位:左半身麻痺、もともと左利き)

 

 

 

紹介文:Re:Walk Project 木戸より

川上さんの冒頭の文章にもある通り、僕は川上さんのことをリハビリにおける“ライバル”だと思っています。

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年齢やプロフィールも異なる川上さんとライバルになれることも、リハビリの醍醐味の一つだと思います。

 

 

「自分自身のリハビリ成果」を張り合っているのです。

 

 

「自分に負けない」という点で川上さんに負けないように意識しています。

 

 

 

川上さんがFacebookにリハビリの様子をアップしたのを見て、

「俺も頑張らなきゃ!負けてられない!」と気を引き締め、

毎日のリハビリに臨むことができるんです。そのくらい、自分と向き合い、目の前のリハビリに集中する姿に、刺激をいただいています。

 

 

今回、僕が知りたかったのは、主に下記2点です。

・脊髄損傷ではない麻痺に対するリハビリはどのようなものか?

・また、50歳の川上さんがリハビリに臨むメンタリティはどのようなものか?

 

リハビリに正解も不正解もないと思います。自分が納得して、いかに目の前に集中できる環境を創っていくのか。

 

 

そんなリハビリの本質を、改めて感じさせてくれた記事です。

ぜひお読みください。

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このような機会をいただき本当にありがとうございます!

 

 

木戸さんとほぼ同時期に神奈川リハビリテーション病院に入院していたので勝手に「同期」と思っていました。「共に切磋琢磨して回復するぞ!」という気持ちです。

 

 

 

 

テーマ:あなたにとって”歩くためのトレーニング”とは何ですか?

「実験」、「あの世に還った時のネタ作り」、「単純に現在休職中のためリハビリが仕事」ですね。

 

 

実験という言葉は冷たい印象を与えるかもしれませんが、木戸さんが言われるポジティブモンスターになるための私にとってのキーワードです。

 

 

 

小さい時から運動は不得意で嫌い。幼少時はなぜ自分が身体という不自由なものの中に入っているのか?と本気で思っていました。

 

ですから、神様が「この世に生まれたからには身体をしっかり体験しなさい」、ということで今回の障害になったのかな?とも思っています。

 

 

 

質問1:脳血管疾患、片麻痺であることの辛さ、難しさ(身体的、精神的)を教えてください

 

 

「千差万別な後遺症の中、いかに自分なりのリハビリの道を見出し続けるか」ですね。

【はじめに:身体の現状】退院後も大幅に回復し、さらなる回復を目指しリハビリ中

現状、脳出血による左片麻痺で身障2級です。

退院時は、40分以内に1.3キロ程度のアップダウンの激しい病院外周を1周することはクリアしました。

 

 

しかし、現実は厳しく、退院直後は足元の心もとなさから、単独では金属支柱の短下肢装具を装着しても自宅から20メートル四方位までしか歩行許可は出ませんでした。

 

 

自宅2階に上がることもできず、1階に妻が準備してくれたベッドに横になり天井をながめながら、当初はかなり落ち込みました。

 

 

 

退院後1年半弱経過した現在は、自宅2階に上がることはもちろん、片道2時間半以上の病院を単独で通い、足は短下肢プラスチック装具と杖をついて健常者の1/3位のスピードです。退院時より随分回復しました。とは言え、現状に満足せず、さらなる回復に取り組んでいます。

 

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【脳血管疾患後遺症とは?】千差万別。私の場合は片麻痺。身体の左右対称性の喪失。全てがゆっくり。

後遺症の程度や内容は人により全く異なり、正に千差万別です。

 

 

大きく分類すると、 足・腕・ 手(指)・ 感覚・言語・高次脳機能障害と言われる様々な判断などの機能障害です。

 

 

 

しかも片麻痺は、左右一対で完結する動きが突然片側だけになります。身体の対称が崩れた状態をご想像ください。今まで左右の足で動いて片側が不自由になったらスピードは1/2でしょうか?。とんでもありません。

 

 

現在でも、足は1/3程度のスピードで距離は何十分の一、手はなんとか右手を使い左手を添えて作業しても時間は7倍位?両手必須作業は不可能に。ですから発症した日から全く身体は違うものに感じます。

 

 

【入院中の気持ち】とにかくびっくり!気持ちの変動は当然起こる。

入院中、リハビリを行っていましたが、素人がいきなり動かなくなっている自分の身体をどうして良いかわからず、びっくりしてしまうわけです。

 

時にはこの不自由な体で生きていくのか?等余計なことも考え、気持ちの変動も当然頻繁に起こります。

 

木戸さんの強いエネルギーを発する訓練ぶりを見ていましたので、同期として自分もやってやるぞ!という気持ちは持ち続けていました。

 

 

 

退院後の身体状況】良くなるが、自らが主体のリハビリ必須。自分なりの浮上のきっかけをつかもう!

発症した日から体は良くならないのでしょうか?そんなことはありません。 確実に時間をかけて良くなります。

 

 

「何時までどの程度回復するのか?ということはお医者様を含めて誰にもわからない」、

 

「リハビリを続けていれば一生回復し続ける」ということが本当の事なのです。

 

ですから「この身体を良くしていくのは自分自身」であり、

 

 

そのためのリハビリメニューも自分自身で作り、あくまで医師・療法士はコーチ陣なのです。このことが肚に落ちるまで結構時間を要しました。

 

 

では、肚に落ちてから浮上し始めたのでしょうか?

 

 

それほど甘くはありません。

 

 

 

素人が何をすればよいの?ということです。運動嫌いでしたので暗中模索です。

理学療法士に言われたメニューをこなしてもはかばかしくありません。

実際には、マラソンなどスポーツに取り組んでいる妻がいろいろ探してくれました。現在の取り組みを見つけたのは、ほぼ、妻です(笑)。とは言え、自分でトライしていくメンタリティなるまで辛抱強く待っていてくれました。

 

 

 

本当にありがとう。

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とにかく、自分なりの浮上のきっかけを掴んでください。掴めずに身体を悪化させるのは本当にもったいないですし、周囲の方々の負担も増やします。自分だけの為ではなく、周囲の方々の為でもあります。

 

 

浮上のきっかけ】オルゴール療法・動きのコツ研究所・リハビリ機「ゆうき」

最初のきっかけは、妻から、「あなたが大好きなオルゴールを利用した療法がある」ということで、

 

日本橋まで行けば珍しいオルゴールを聴けるという人参をぶら下げられながらよろよろと歩いて何とかたどり着き、美しい音色を聴いたことが最初です。

 

正直、はじめは何となく体が柔らかくなった感じがするという程度でしたが、いろいろやってみようというきっかけになりました。

 

 

本格的な浮上のきっかけは大きく2つ。

 

 

動きのコツ研究所と、リハビリ機「ゆうき」でした。動きのコツ研究所では現在の身体でもコツをつかめばよりよく動けることを実感し、リハビリ機「ゆうき」では自力では難しくかつ地味に繰り返しが必要なリハビリを機械のサポートにより長時間可能とし、具体的に腕が退院時より上がったことです。

 

「自分なりの身体が良くなるきっかけを掴んだ喜び」これはとても大きかったです。それから他の事にも色々挑戦して今に至っています。もちろん、今後さらに良くしていきます!

 

 

社会的リハビリ】とにかく実社会と接点をもち、話すなどアウトプットを!

人間は単なる動物ではなく、社会的生き物です。最初はコンビニの店員さん等でよいですから、兎に角、医療や介護・リハビリ関係以外の方との接点を必ず持ってください。

 

復職を目指しているので、通所介護のおじい様おばあ様方のみでは不十分と悟り、大学研究のお手伝い、たまたま依頼があった医療関係のセミナー講師等、現役との接点を心がけています。

 

 

高次脳機能障害】該当なしの診断結果。とはいえ老化はある。

検査の結果、いわゆる言語障害や高次脳機能障害はありませんでした。ですから、リハビリ病院の入院期間は150日でした。因みに、高次脳機能障害がある場合は180日です。 身体の障害はそれなりですが、この障害がないことでコミュニケーションの問題は発生せず、色々と自分で考え、この文章のように発信することもできます。

なお、年齢を重ねるに従い、記憶力が衰えたり、妻の話を聞いていなかったり(笑) と言ったことも起こっていますが、原因は今回の病気か加齢か複合か正直よく分かりません。

この障害がある方も患者仲間にたくさんいらっしゃいました。話は理解できるけども言葉にして話すことはできない、数字を理解できない・・・

症状は実に様々です。 身体の障害であれば外形的に出ますので一般の方もそれなりにご理解いただけると思います。

しかし、高次脳機能障害の場合には、見た目ではわからない、話して初めてわかる、症状によっては全く外見では判別できないけれども本当に苦労されていらっしゃる方々が多かったです。本件は当事者として語ることはできませんが、退院後の状態も様々です。

 

質問2:リハビリに臨み、継続させる原動力を教えてください

実験ですので、まずは身体の変化や試行錯誤、つまりプロセスそれ自体をシンプルに楽しんでいます。その上で、下記の質問3のゴールに向かっています。

リハビリを継続するのは自分の為ですが、自分だけの為でもありません。周囲の負担も減らせるようにです。

又、仙台で東日本大震災に被災してから(それなりに大変でしたが、もっともっと大変な多くの方々や当時の状況を目の当たりにしています)人生観も変わりました。以降の人生はボーナスステージ。何か良きものを残したいと思っています。

 

質問3:リハビリの先に目指しているゴールを教えてください

①まず、運動が不得意な私でも、身体を退院後も良化し続けることができるという実例を見せること

②今後発病した方々に、「よりスムーズにリハビリを進め身体を改善するための参考例」を提示すること

③新たなリハビリ機械・社会復帰のモデル作り等のお手伝いをすること

が、今、目指しているゴールです。

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質問4:今の年齢になって、脳血管疾患になり、片麻痺が残ることに対する考え(悩み、受け止め方など)を教えてください。

現在50歳。発症は48歳です。

 

正直中途半端な年齢で発症したと思いました。もう少し先で60歳位以降であれば諦めてリタイア?。でも、それでは回復へのエネルギーや志も現在のように保てず、ある意味幸いであったと思うことにしています。

今後の人生で出来ることは何か?と頭の片隅で思いながらも、まずは現在をしっかりと過ごすことと思います。

一点だけ、諦めによる障害の受容だけはせず、現状から何をしていくか?を考えて行動することにしています。

諦めるとある意味楽ですが、どんどん易きに流れ、さらにそれを正当化する理由付けはいくらでもできます。

でも、それでは、あの世に還った時につまらないネタばかりです。折角ですから面白いネタをたくさん持ち帰りましょう(笑)。

人は例外なく死を迎えます。今後どのようになるかはわかりません。わからないから面白い。そして、自らの経験や考えを発信することで、後の方々へお役に立てるものを打ち出したいと思っています。それが役割と思うことにしました(笑)

 

 

 

質問5:脳血管疾患や脊損者など、障害を持つ人たちとその家族へメッセージをお願いします。

「楽しく」、「淡々と」、「決して諦めず継続して」、色々トライしてください。そうすれば必ず何がしかの道が開けます。

自分だけではなく、周りの方々もとてもびっくりされ、時には精神的に落ち込む事もあると思います。「当然のことですよ」。

ただし、びっくりに心を留めず、現実を見つめ、現状からどのようにして状況の改善を図るかをお考えください。

自戒も込めて書きます。自己憐憫と自己正当化の誘惑に負けないこと。日常の全て、森羅万象がリハビリやヒントです。

とは言え、日常は妻の世話になりつつ、滑ったり転んだりして過ごしています。お互いに楽しく過ごしましょう!

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【ご本人の皆様へ】

発病当時は、着水した飛行艇です。海に沈むか、海面をさまようか、離水して上昇するか?離水すれば身体の上昇高度

に限りはありません。時には水平飛行(停滞)、乱気流、失速等もあるでしょう。それでも立て直し再び上昇してください。

・発病当初の離水と上昇はエネルギーが必要と思います。それでも、ある程度経過したら、「リハビリするぞと意気込むことなく、楽しく淡々としたリハビリ」に気持ちを切り替え日常の習慣にしてください。

・自分の中の弱さと徹底的に向き合い、それを恥じることなく素直に認め、そこからどのようにより良く生きていくか、自分の肚に落ちる答えを、他人ではなく、あくまでご自身の内面、良心に聞き、見出して下さい

・医師や理学療法士等の皆様はあくまでコーチ陣であり、監督&選手は自分自身、自分があくまで主体です!

 

 

 

【ご家族や周囲の皆様へ】

皆様方も、ご本人と同様、大きなショックを受けられたと思います。一方、本人を気遣い思うように吐き出せないと思います。

とにかく、自分なりのガス抜き方法を見つけてください。そして、本人が主体的にリハビリに取り組むように仕向け、でき得る

限り家庭や社会で動かしてください。それによりご本人が動けるようになるのみではなく、ご家族や周囲の皆様の負担も軽くなります。その方が皆様、楽しいですよ。

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以上です。

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