キドリハ通信 KIDOREHA BLOG

2016年4月12日、新生活122日目。(事故から1年と8日目) 2016年04月12日 18時12分50秒

vol.65キドリハ通信~欲しがりません立つまでは第2章~

 

 

皆さんおはようございます。

 
連日の通院で、今日は渡航前ラストの検診、薬やカテーテルの処方をしてもらいます。

 

 

今、体調を崩すわけにはいきませんから、今日の日を万全の体調で臨むことを意識してきました。

 

 

今日のキドリハは、脊髄損傷者の天敵、褥瘡(じょくそう)について紹介しようと思います。

 

 

褥瘡とは、いわゆる床擦れのコトです。

 

床擦れと言うと、高齢者などで感覚が鈍くなったり、自分で寝返りを打てなくなって、床擦れになるケースはよく聞きます。

 

 

なぜ脊髄損傷者の天敵かというと、基本的には高齢者と同じ原理です。

 
下半身が麻痺すると、足やお尻に感覚が無いので、体重がかかって、座ったり寝ている時に体を支える接地面に血がたまり、油断するとすぐにそこから皮膚が壊死して褥瘡ができてしまうんです。

 

 

皆さんはどうして褥瘡にならないかと言うと、
ずーっと同じ姿勢でいるとお尻がムズムズ気持ち悪くて、自然と体勢を変えているんです。

 

人間の体はうまくできています。

 

 

脊髄損傷者はそのムズムズが分からないので、ずーっと同じ姿勢でいてしまい、血が溜まって皮膚が壊死してくるんです。

 

 

床擦れと聞くと大したことがなさそうでも、ひどくなると致命傷になり得る怪我です。

 

 

例えば1番多くて重症になるのは、お尻です。

 
僕がリハビリ病院にいた際も、脊髄損傷者の再入院で1番多かったのが、褥瘡です。

 

 

床擦れと聞くと、原因はベッドだけかと思われがちですが、歩けない脊髄損傷者にとっては、車椅子が足の代わりになります。

 
車椅子は常にお尻に体重がかかるので、必然的にお尻の褥瘡リスクが最も高くなります。

 

 

また、ひとたび小さな褥瘡ができると、車椅子に座る時間やベッドで寝てる間にたちまち広がり、手術しないといけないレベルまで一気に進行してしまいます。

 

 

お時間ある方は、「褥瘡」で画像検索してみてください。結構見てられないような傷が出てきます。検索画像を使うわけにはいかないので、僕が褥瘡になった傷をアップします。

 

 

これが、先月僕の右足かかとにできた褥瘡です。

264

 

 
見たく無い人は飛ばしてください。

 

 

ところで、なぜかかとなのか??

 

 

 

ベッドで仰向けで寝る場合、基本的にはかかとは常にベッドに設置しています。そして、かかとは皮膚のすぐ下に骨があるので、血がたまりやすく褥瘡になりやすいんです。

 

 

では、褥瘡を防ぐためには?
それは、とにかく除圧(じょあつ)をすることです。除圧とは、圧を逃すと書く言葉の通りで、とにかく体のある部分に集中するストレスを逃すコトです。

 

 

除圧の1つが、クッションを有効に使うことです。例えば、車椅子に乗る時は、ストレスがかからないよう柔らかいクッションを敷きます。僕の場合は、ロホクッションというエアークッションを使用しています。

 
また、ベッドにも、圧を逃してくれるちょっとええマットレスを使います。僕の場合はアルファプラというマットレスを使用しています。

 

 

除圧の2つ目が、自分の心がけです。
車椅子の場合はプッシュアップを心がけます。
車椅子に乗っている時は、約15分に一回は必ずプッシュアップをしてお尻を除圧するよう心がけます。

 

 
コレは、怪我をした直後からずーっとやっています。最初は、「俺はこれから一生、15分に一回ケツを上げ続けるのか…」と後ろ向きに考えていましたが、今ではすっかり習慣になって、「15分に一回ケツをあげるクセを身につけるコトで健康を維持できるのか。」と、特に苦にならなくなっています。

 

 

人間の習慣力は凄いです。

 

 

また、ベッドでは、脊髄損傷者は寝ながら自然と寝返りを打てない(感覚による信号、ムズムズが分からない)ので、
数時間ごとに起きて体位変換(体向=タイコウ)することで、体重によるストレスが局所に集中するのを防ぎます。

 
正直僕の場合は、夜は左向きに寝れば、約7時間ほど体向しなくても傷が出来ないと分かったので、その向きで寝ることを心がけています。

 

 

コレは、人によって傷の出来やすさが異なり、同じ人でも体の部位よって傷のできやすさが違い、更には環境によっても変わってきます。

 

 

例えば、車椅子のクッションは持ち運べるけど、出張先にわざわざベッドのマットレスは持ち込めないので、初めてのベッドで寝るときは体向の回数を増やすなど、工夫とより強い意識が重要になってきます。

 

 

僕のかかとの傷は、寝る時にも、傷の部分が接地しないように意識して生活し続けることで、1ヶ月経った今では、ようやく傷が治りました。

 

 

265

 

 

本の数センチの傷が治るのに1ヶ月かかります。
それだけ、脊髄損傷者の体はセンシティブなんですよね。
だから、かかとの褥瘡ができた時は、結構不安でした。

 

 

出発まであと約一週間、より体調管理を意識して過ごします。

長くなりましたが、今日はこの辺で…

コメントを投稿する

すべての項目を記入して『投稿する』ボタンを押してください。パスワードは投稿したコメントを編集・削除する時に必要になりますので、忘れずに覚えておいてください。

編集