キドリハ通信 KIDOREHA BLOG

2016年3月1日、新生活81日目。(事故から334日目) 2016年03月01日 13時00分05秒

vol.36キドリハ通信~欲しがりません立つまでは第2章~

 

皆さんこんにちは。木戸です。
今日は、朝から泌尿器科に来ています。目的は、不妊治療のための検査です。

 

 

なぜ泌尿器科?なぜ不妊治療? と思われた方もいるかもしれません。

 

なぜなら、僕は脊髄損傷により腰から下が動かなくなったことで、排泄障害の他に、生殖機能も失いました。

 

具体的に言うと、勃起障害があり自力で射精ができません。

 

もちろん、人によって麻痺の場所や症状は異なりますが、僕の場合は排泄機能も生殖機能も失いました。

 

 

自然に勃起しない場合、次の手として、バイブレーション法というものがあるようで(本当に、お医者さんから教えてもらいました。)、

バイブレーター(大人のおもちゃとして有名)で陰部を刺激することで、本能的に反応する場合があるようです。

 

しかし、僕の場合は反応しませんでした。

 

バイブレーション法が空振りとなると、奥の手として、電気刺激により前立線を刺激して、反射的に勃起・射精を促す、という施術があります。

 

コレについても以前試してみましたが、
尿管かな?(カーテンで覆われていて詳しく見れませんでしたが)を通して膀胱あたりを電気刺激していきます。
5ボルト→10→15→20ボルトと上げていったのですが…僕の場合は、ギリギリ膀胱は感覚が残っていて、

 

20ボルトになる頃には失神しそうなくらい激痛が走ってギブアップ。

 

感覚が残っていると、こんなところに弊害があるんですね。でも、膀胱に感覚があるおかげで、

尿が溜まっている感覚が分かるようになっているので、どっちが良いとも言えません。
人間の体って、本当に複雑ですね。

 

と、ココまでは入院中にリハビリ病院で経験しましたが、どれも僕には効果なしでした。

 

 

ちなみに、勃起が弱いけど反応が残っている人の中には、薬の力を借りている人もいます。

僕も、入院中同部屋の方にバイアグラ的なモノをもらって試してみましたが、それも反応しませんでした。

 

残された策は、精巣を直接切って精子をとりだす方法で、コレが事実上最後の手段となります。その手術のための事前診断を受けに来たんです。

 

事故後、子どもを授かるというコトについて考える機会が増えました。

 

脊髄損傷になり、生殖機能が働かなくなると、精子の生命力も減退する傾向にあるとされていて、一般的には不妊治療をするにも早い方が良い、と言われています。

 

なので、オーストラリアに行く前に精子を取り出す手術をしておこうと考えています。

 

事故をする前、僕は奥さんとも将来のこと、子どもについては結構話し合っていました。
僕も、奥さんもやりたい仕事があったので、キャリアを考えるとあと数年は子どもを産むのは待とうか…なーんて話をしていました。

 

その矢先、事故に遭いました。
事故に遭って初めて、「もしかしたら自分のせいで子どもを産めないかもしれない。」

 

そう考えると、人生の生きる目的を半分失ったような絶望感に襲われました。

 

人生、計算通りにいくわけじゃないんだ。
そんな風に思わされました。

 

また、怪我をしてから、色んな方から励ましのメッセージをいただいた際、出産の際に苦労した話や、

産まれてすぐにお子さんが病気を患って、その闘病生活について話してくれた方もいました。

 

健康な子どもを産むということ、子どもが元気に育つということは、当たり前のことではないんだ。

 
子どもを授かるっていうのは、素敵な奇跡の結晶なんだなぁと、考えるようになりました。

 

そんな風に思うと、同年代の夫婦から、無事に元気な赤ちゃんが産まれた知らせを聞くと、今まで以上に心の底から祝福したい自分がいたりします。

 

怪我をした分、僕は子どもを産める可能性は低くなりましたが、もし元気な子どもを授かった時どれだけ嬉しいだろうなと、想像もできないけど、想像したりしています。

 

今朝、駅から病院に行く際に、86歳の杖をついたお爺さんに会いました。

 
駅のエレベーターで一緒になったんですが、
「俺が車椅子を押してやろう!イイからイイから!!」と半ば無理やり車椅子を押してくれました。

 
目的地が同じ病院と分かると、病院まで押してやろうと言われ、その間ずーっと「イイからイイから!」と言いながら車椅子を押してくれました。笑

 

29歳の若者が、86歳の杖をついたお爺さんに車椅子を押されている…
周りの人はどう思って見ているのだろうか、不安に思いながらも、笑顔で一緒に写真を撮る、そんな素敵な出会いがありました。

 

 

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では、また次回。

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