キドリハ通信 KIDOREHA BLOG
「完全麻痺(完全)と不完全麻痺(不全)」 2016年10月13日 21時58分56秒
〜つぶやきキドーのぼやきのようなつぶやき。”リハビリなう。”〜
今週、”障がい”について改めて考えるキッカケがあったので今日は久しぶりにそんなテーマで書いてみます。
(ちょっと長めにつぶやきます)
昨日、一昨日とアイワンの家にステイしてきました。
事故後初めての、一人でのお泊りです。
アイワンは、Making Stridesのクライアントの一人で、
今ではメルボルンの自宅に戻り、自分でリハビリを続けています。
アイワンはC4(頸椎4番)のケガなので、首から下に麻痺が残ります。
しかし、杖は必要ですがアイワンは装具を付けず自分の脚で歩くことができます。
それに、麻痺した部分に関しても70%ほど感覚があるので褥瘡の心配はほぼありません。
更には腕も多少動くので、自分で車も運転しています。
事故直後は僕と同じく全く動かなかったものの、
「不完全麻痺(不全)」と診断されており、一部麻痺が改善しているのです。
一方で、僕は「完全麻痺(完全)」と診断されており、
動きは戻ってこないと診断されています。
(これは再確認の意味で書きますが)
日本の医療では前提として、
不全は改善の見込みアリとされ歩くためのリハビリを行います。
完全は見込みナシとされ、歩くなど、脚を使う、動かすためのリハビリは行いません。
完全は、車いすでの社会復帰を優先するという考え方に基づいています。
アイワンは、リハビリによって脚の動きを改善させて、再歩行を獲得したのです。
家の中では全ての行動を歩いて生活しています。
ここまでの話だけを聞くと、不完全の彼の方が完全の僕よりも障がいの程度は断然”マシ”なようですが、そうとも限りません。
杖をついて歩けはしますが、体全体の運動神経は完全には戻っていないので、
長距離は難しく外出時は車いすに乗っています。
また、腕の動きや指の動きには麻痺が残っているので電動車いすです。
正直その動きは敏速に動くことは難しく、その動きは力強さに欠けます。
(アイワン、ちょっと乱暴な書き方でごめんね。)
イメージしやすいように数字で表すと、健常者の30%くらいでしょうか。
彼の動きはそんな感じです。
さらには、強い痙性によって、スムーズな動きを更に邪魔されます。
全てのコトを行うのが3倍苦労して、3倍遅い。そんな感じです。
まず、ここまでを話したうえで、、、
こんな会話を話していました。
「人間の体って不思議やね。俺は上半身は完全に使えるけど、自分の脚では歩けない。
アイワンは、歩けるけど、上半身にも麻痺が残って時間がかかる。」
人の麻痺は人それぞれ。
不全が良くて、完全が悪いとは一概に言えないし、比べようはない。
僕がいつも思っていることを、アイワンも彼なりの解釈で話してくれました。
「最初は何でこんな障がいを負うのかとショックだった。
だけど、全ての人が何かしらの悩みを抱えて生きてる。
他の障がい者も、健常者でさえも。だから、自分は前向きに生きるだけ。今はそう思ってるんだ。」
この考えは、人と比べているようで、そうではなくて、
自分の「今」に向き合うということだと思っています。
自分が失ったこと、
できないことを考えるのではなくて、
自分が今できることをする。
そして、今できないことを嘆くのではなくて、できないことをやってやろうとチャレンジする!
この、今の自分と向き合うことと、無いものねだりをリハビリモチベーションに変えること、そのバランスが何よりも大切で、何よりも難しいと思う。
そんなコトを考えさせてくれる2日間でした。
アイワンありがとう。今度は日本を案内するよ。
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