キドリハ通信 KIDOREHA BLOG
2016年 10月25日(事故から 1 年と 204日目) 2016年10月25日 19時04分34秒
vol.42 キドリハ通信~欲しがりません立つまでは第 3 章~
「歩くための体幹」
皆さんこんばんは。
以前から体幹トレーニングの動画や写真をあげていますが、、、
ブログを見た方から「なぜ歩くのに脚じゃなくて体幹トレーニングをするの?」と質問をいただきました。
もちろん脚を動かすためのトレーニングも必要ですが、今日は体幹の必要性を考えてみたいと思います。
ちなみに、日本で入院中も体幹トレーニングをしていましたが、それは歩く目的ではなく、上半身だけで日常生活を送るためです。
例えば車椅子操作や着替えやトランス(移乗)がスムーズにできるようになるための体幹トレーニングです。
歩くための体幹トレーニングは目的が全く違います。では何のために体幹トレーニングをするのか。
まず、その前に完全麻痺の僕が「歩く」ためには2つの考え方があります。
1.脚の役割を他の部分で補う
2.動かない脚を無理やり使う
脊損者が再歩行を獲得しようとするとこの両方のアプローチが必要で、中でも1において大きな役割を担うのが体幹です。
僕の目標はあくまでも「自力歩行」です。
自力歩行で歩くためには、「正しい姿勢」で歩くことが重要です。
正しい姿勢とは、普通の人が歩く姿勢と同じように歩くということです。
この正しい姿勢で歩くために、体幹は非常に重要なんです。
ちなみに、日本でも歩行訓練をしていたのですが、脚は動かない前提での歩行でした。長下肢装具で膝を固定し、脚を棒のように固定して歩きます。
そのため、腰が引けてしまうと体がくの字に曲がって転倒してしまいます。(ナイフがくの字に折れ曲がるようなので「ジャックナイフ」と呼びます)
ジャックナイフにならないよう、腰を前に突き出して、体を後ろにのけぞった姿勢を保ちます。写真は入院中の歩行訓練です。腰を自然な位置より前に突き出してるのがわかると思います。
でも、コレでは普通の人が歩く姿勢とは大きく異なり正しい姿勢とは言えません。
もちろん長下肢装具を使った歩行にも効果はあります。立つ、歩くことで脚に重力がかかり骨粗鬆症になるのを防いだり、全身運動をすることで体の代謝促進につながったり。
僕の場合は、長下肢装具の歩行によって腸腰筋(腰から膝をつなぐ脚を振り出すための筋肉)が動くようになりました。
この歩き方では体幹はあまり必要なく、体のバランス感覚と少しの慣れで歩けるようになります。
ただ、この歩き方だけを続けていては、いつになっても装具はとれません。これ自体が装具ありきの歩行だからです。
あくまでも僕の目標は自力歩行=正しい姿勢で歩くことです。
しかし、僕が歩行器を使って長下肢装具をつけずに歩行をしようとした時、皆さんのように下半身で踏ん張れないので、全身の重心を真ん中に保とうと上半身が前後に動きます。
オーストラリアに来た始めの頃は、体幹が弱く、姿勢をまっすぐ保つことが全然できずませんでした。体がグラグラなので脚のどこの筋肉が使えて、どこが使えていないのか?
が全然わからない状態でした。
そのブレを無くすために、時間をかけて体幹を鍛えることで上半身が保たれ、前後にぶれることがなくなっていきました。
そして、体幹がついて上半身が安定してくると、自分の脚で歩くためにどこの筋肉が、どれくらい足りていないかが実感できるようになってきます。
例えば、僕の場合は(体幹によって体はストレートに保ったうえで)…
脚をもっと降り出したいのに力が不十分→腸腰筋は30%くらいの収縮は出ているな。
とか、
体重が乗った時、ほとんど踏ん張れず膝が折れてしまう→膝を伸ばすための大腿直筋の力が全然足りない。現状ほぼ0%か、あっても数%。
脚を後ろから前へ脚を蹴り出すことは全くできていない→ハムストリングの力もほぼ0%。
…こんな具合に自分の体、特に脚の筋収縮の状態を把握できるようになります。
だから、腸腰筋を動かすよりも、まずは膝をロックできるように大腿直筋の収縮を鍛えるトレーニングをしようかな。そこ次に、ハムストリングを鍛えていこう。
腸腰筋は時間がある時、移動中にトレーニングする程度にしよう。
なんて風に、考え方2のトレーニングについても効果的、効率的にプランニングできるようになります。
僕が考える体幹の必要性はこんな感じです。
あ、あとは上半身が引き締まるので、ビーチでシャツを脱いでも恥ずかしくなくなる、そんな利点もあるでしょうか。笑
冗談です。
でも実際、体幹トレーニングは筋力トレーニングで1番ハードなので、新陳代謝も良くなり、心身ともにリフレッシュできる、そんな効果は実感しています。
皆さんも、ブログやYouTubeを見て疑問に思うことがあれば、コメント欄からどんどん質問してください。
いつでもお待ちしています。では、また次回。
コメントを編集する
必要なところを編集してください。編集が終わりましたら、1番下にある「投稿する」ボタンを押すと変更内容が反映されます。
ルール
※必ずお読みください 運営者へ問い合わせ