キドリハ通信 KIDOREHA BLOG

2016年2月19日、新生活70日目。(事故から323日目。) 2016年02月19日 12時00分06秒

皆さんこんにちは。

 

今日は、リハビリ内容てんこ盛りなので、早速海外視察続編にうつります。

 

<1/25 リハビリ海外視察”7日目”>
アメリカ2日目。
今日のメインプログラムは、トレーナーEric(エリック)とのトレーニングです。

 

エリックは、アメリカでリハビリ生活を送る日本人の藤井さんファミリーから紹介してもらったトレーナーです。

 

藤井さんファミリーは、今回アメリカを視察するにあたり事前に連絡をとらせていただき様々な情報をいただきました。

 

藤井さんについては今後の配信で改めて紹介します。

 

エリックは、アメリカで最も有名な脊髄損傷専門のリハビリジム「Project Walk(プロジェクトウォーク」設立時のメンバーの1人です。

 

ちなみに、日本にあるJ-warkoutもProject Walkのノウハウを基に設立されたリハビリ施設の1つです。

 

いわゆる暖簾分けみたいなもんだと思っていただいて良いと思います。

 

そして今エリックはプロジェクトウォークから独立して、患者さんの家に機材を運んでリハビリを行う「訪問リハビリ」を行っています。
アメリカでもトップレベルのトレーナーと訓練できるということで、とても楽しみにしていました!!

 

ちなみに写真はエリックとの2ショットです。
(第一印象は、海外メーカーのテレビショッピング出てそうだなという印象でした。)

 

208

 

 

エリックとのトレーニングで学んだコトは大きく分けて2つ。

 

①体背面の筋肉(特に背筋)強化の必要性
②立った状態での下半身の筋肉を意識する必要性です。

 

まずは筋力テストをしながら筋力トレーニングをしました。

 

●まずは、仰向けで脚の動きをチェック。
エリックの手で上下左右に誘導される動きに合わせて骨盤や、かすかに動く腸腰筋に意識を集中させます。
エリックは、どこまで筋肉が使えるか、柔軟性はあるか、などを見ていた感じです。

 

●次に、うつ伏せに…
リハビリ病院でやっていたように四つ這いの状態でバランスをとります。
動画を見てください。四つ這いの姿勢で、お尻を左右に振ります。コレはまさに病院でやっていた練習です。
自分が今までやっていたOTやPTの先生とやってきたコトが間違いじゃなかったんだぁと、自信になりました。

 

四つ這いでのバランス

 

 

右に左に、お尻を動かして、腹筋や背筋を意識してバランスをとります。
ひと通り体をチェックすると、エリックにすぐに言われました。

 

「お前、腹筋は強いけど背筋はすこぶる弱いなぁ。背面を中心に鍛えていかなアカンわ。(もちろん英語で)」

 

●そこで、リハビリベッドの上で背筋のトレーニングです。動画をご覧ください。

 

 

膝立ちの姿勢で、前傾姿勢から垂直の姿勢まで、体の背中側の筋肉を駆使して起き上がります。
僕の表情を見てわかるように、結構キツイです。と言うか、なかなか起き上がれません。やはり、背筋が絶対的に弱いんですね。

 

 

コレまで、いわゆる「背筋」のトーニングは自主練で継続して毎日やってきました。今では通算8000回を超えています。

 

 

それでも、背中に手術で入れたボルトがあることもあり背筋はほとんど上がりません。
可動域に限界がある中なので、腹筋と比較してなかなか成長は感じられずにきていました。

 

しかし、このトレーニングでは、ボルトによる可動域の狭さは言い訳になりません。
いかに自身の背筋が弱いかを痛感させられました。

 

 

●次に、早速立位でのバランストレーニングです。立位のトレーニングに入るまでおよそ30分足らずです。

 

これは繰り返しになりますが、日本では完全麻痺者が立ってトレーニングすることは基本ありません。

 

でも、こちらでは2時間のトレーニングのうち少なくとも3/4は立った状態でのトレーニングです。

 

立位からスクワット

 

 

 

事故後、スクワットをしたのは初めてでした。
動画の途中で、専属トレーナー(妻)から、「(体が)沿ってる。肩もうちょっと前」という厳しい指示が入ります。

 

まさにココが、背筋力が足りないことによる弊害です。
前傾姿勢になると、ジャックナイフ(10/20キドリハブログ参照)になることが怖くて後ろに仰け反って姿勢を保持しています。
結果、仰け反った状態で腹筋ばかり使うことになります。
そうではなく、垂直に良い姿勢を保ち、ジャックナイフにならないように背面の筋肉で支える。今の僕にとってコレがとても大切なんだと気づかされました。

 

また、スクワットの動きをすることで、今は腕の力や骨盤を多く使ってやっていますが、
そうではなく、ケツの穴を締めるイメージを強く持ち、脚のハムストリングを使おうと意識して踏ん張ることで、

今は動かない脚にも新たな神経伝達回路をつくろうとするトレーニングです。

 

 

●さらに、立った状態から片手を離して上下に動かします。

 

 

 

ただでさえ、片手になった事で不安定になるうえに、腕を上下に動かすことで体のバランスが崩れやすくなります。

 

しかし、ココまで難しい体勢をあえてつくることで、脳みそによって意識するだけでなく、
下半身も含めた全身が体のバランスを取ろうと本能的に反応します。

 

これを繰り返すコトで、バランス感覚を自動化(意識せずにできるようになること)し、
さらに動かない脚にも新たな神経伝達回路をつくろうとするトレーニングです。
※常に、言うことを効かない脚の筋肉を意識して体にプレッシャーを与えます。

 

 

●立った状態で、更なる刺激を与えます。
「パワープレート」という細かく強い振動を与えることができる機械です。

 

パワープレートを使用した立位

 

 

パワープレートはサッカーやスポーツの世界でも用いられていて、振動によって体にたまった乳酸をとる(簡単に言うと「疲労回復」の)ために使ったりします。
その上に乗ることで、自分では生み出せない刺激を脚に与えます。
心なしか、今までよりも腹筋などの筋肉を使わなくても安定して立てるような気がします。

 

脊髄損傷者や、神経系の病気の人によくある症状に、痙性(体がある動きに対して反射的に起こる痙攣)があります。

 

(ちなみに、僕は全く痙性がありません。痙性があるから、良い・悪いということではありません。)
普段は動きを邪魔するので嫌がられる痙性ですが、自分の体とうまく付き合えるようになると、
痙性を利用して、その反動で体を持ち上げてトランスをする人もいます。

 

(繰り返しになりますが、僕は痙性はないので、直接この感覚は分かりませんが…)

 

似たような原理で、パワープレートに乗っていると、外的に刺激を与えて体を震わせるので、
自分で立つ以上の力を使うコツをつかむことができる。そういうことかなぁと想像していました。

 

(これに関しては個人的な見解が入っています)

 

また、外的な刺激を与えることで、そもそも動かせない脚に強制的に運動をさせる、という目的もあります。

 

トレーニング中、声が震えるのを利用した「イ~ティ~(E.T.)」というギャグが炸裂しますが、

エリックは鼻で笑って流しています。

 

アメリカ人もAISOWARAIするんですね…苦笑

 

他にも初めて使用した機械を使ったトレーニングもありましたが、、、

 

今日はココまでにして、また今後の配信でチャンスがあれば紹介したいと思います。

 

やはり、新しい器具や新しいメニューで行うトレーニングはとても新鮮で、それだけでとても楽しいものです。

 

また、海外のトレーニング理論は「立つため」のトレーニング理論であり、]
この理論でトレーニングを続けると、本当にリハビリだけでもう一度歩けるんじゃないか?

 

少なくとも、新しい変化が起きるんではないか?そう思えてきます。

 

 

エリックとのトレーニングは、今回の海外視察全体を通しても1,2を争うほど良い刺激になりました。

 

Thank you Eric!See you again!

 

 

次回につづく…

コメントを投稿する

すべての項目を記入して『投稿する』ボタンを押してください。パスワードは投稿したコメントを編集・削除する時に必要になりますので、忘れずに覚えておいてください。

編集